
ワクチンで予防できたらと思うんだけど、お腹の赤ちゃんに影響がないかも心配……
もう、どうしたらいいんだろう……
重症化や早産のリスクが高まると言われているな……
かといってワクチンも、副反応が激しい分、心配になるのもわかる……うぬぬ
わかりました!
最近発表された論文をもとに、解説していきましょう!

医療施設での感染対策コンサルタントを6年間経験しました。
医師~清掃員まで1000名超の指導経験があります。
日本の代表的な感染症学会『日本環境感染学会』で発表したことも。
現在妊娠中の身で、プレママの気持ちに寄り添って情報発信していきます。
正しい情報を求めるあなたの助けになれたら嬉しいです!
目次
コロナ感染による早産・死産・新生児死亡リスク
『SARS-CoV-2 infection and COVID-19 vaccination rates in pregnant women in Scotland』
Nature Medicine volume 28, pages504–512 (2022)
新型コロナウイルスに感染した妊婦のうち、ワクチン未接種だった人の割合は以下の通りでした。
感染 | 77.4% |
感染により入院 | 90.9% |
重症化 | 98.0% |
ワクチンを接種することが、感染を防いだり、入院や重症化を防ぐことがわかりますね。
特に感染が出産直前であったり、感染が出産の引き金になった『感染後28日以内に出産』の群では、特にリスクが高いです……
接種後29日以降に出産 | 接種後28日以内に出産 | 感染なし全体 | 感染後29日以降に出産 | 感染後28日以内に出産 | |
早産 | 8.6% | 8.2% | 7.9% | 10.2% | 16.6% |
周産期死亡 (死産・新生児死亡) |
1000人あたり4.3人 | 1000人あたり4.3人 | 1000人あたり5.6人 | 1000人あたり8.0人※ | 1000人あたり22.6人※ |
感染後の周産期死亡は、全てワクチン未接種例に起こったとのこと。
けれど『コロナに感染する確率』×『周産期死亡に至る確率』の低さを考えると、
ワクチンの赤ちゃんへの悪影響がないことを確かめないと、まだ怖いなぁ……
ここから先の参考文献
2022年3月24日に発表された下記論文を参考にしています。
『Association of COVID-19 Vaccination in Pregnancy With Adverse Peripartum Outcomes』
JAMA. Published online March 24, 2022. doi:10.1001/jama.2022.4255
皆が信頼する論文誌なので、その分研究内容のチェックがしっかりとされているため、一般人の私たちにとっては『信頼性の高さが担保されている』という感じですね。
妊婦をターゲットにしている投稿もあり『流産が』『死産が』と不安をあおってきますが、大体が誤訳か、発表元の雑誌の信憑性が著しく低いところから引用しているので注意してくださいね。
どうしても気になる研究結果を見かけたら、その雑誌のIFを調べてみるといいかもしれませんね。
ワクチンによる胎児への影響は心配しなくてOK
結論から言えば、妊娠中のワクチン接種による胎児への悪影響はありませんでした。
この調査は、カナダの97,590人もの妊婦を対象に行われました。
流産・死産については、前述のように他の大規模調査で影響がないことが証明されているので、今回の研究ではもっと細かな出産経過や赤ちゃんの元気さを見ています。
どの項目も、両者に有意差がなく、ワクチン接種による悪影響がないことを示しています。
(有意差がない=統計学上、つまり科学的に違わない・影響がない)
ワクチン接種 | 未接種 | |
分娩後出血 | 3.0% | 3.0% |
絨毛膜羊膜炎 | 0.5% | 0.5% |
帝王切開 | 30.8% | 32.2% |
胎児のNICU入院 | 11.0% | 13.3% |
低アプガースコア (新生児仮死) |
1.8% | 2.0% |
『アプガースコア』とは、生まれた赤ちゃんの元気度を数値化したものです。
元気度は、皮膚の色・心拍数・鼻を触った時の反応・筋肉の活発性・呼吸から判断します。
『低アプガースコア』とは、10点満点中6点以下の状態を指し『新生児仮死』と診断が下されるような状態と同じ意味です。
この数値は赤ちゃんの予後とも関連するので、今回の研究結果はかなり安心できるものと言えますね。
ここまで細かな数字が出てくると、大丈夫そうだなって思いませんか?
特にアプガースコアの結果は、赤ちゃんを第一に考えるママにとっても
ワクチン接種を判断する後押しになるものだと思います!
追加接種ももちろん安心!
ここまでの研究結果は、ワクチン1~2回接種が行われた時期のデータのため、3回目の接種が気になるところですね。
世界に先行してワクチン接種を進めていたイスラエルでは、3回目の接種データでも同様の結果が得られたという研究結果が発表されているため、心配いりません。
何より、ワクチンによって獲得した免疫が失われていくのを補うのがブースター接種の目的。
先の研究結果を見ていると、母体のためにも赤ちゃんのためにも、しっかりと追加接種を受けていくことが大切です。
おすすめの接種時期は?
でも、いつ打てばいいんでしょう?
『妊娠初期は避ける』なんて話も聞くので心配です……
妊娠初期でも安全だけど……手放しでおすすめしない理由
妊娠初期でも、安全です。
ワクチンが流通し始めたばかりの頃は、妊婦に対する影響が不明だったこともあり、妊娠継続できるかが不安定な妊娠初期は避けるように指導されていた時期もありました。
しかし、今はそのようなマニュアルも撤廃され、ワクチンはいつでも接種することができます。
とはいえ、私は妊娠初期のワクチン接種を『手放しでは』おすすめできません。
妊娠初期は、妊娠が継続できるかもまだまだわからない時期です。
そんな中で、ワクチン接種後に流産という結果になったら、どういう気持ちになりますか?
そうなんです。
もちろん、妊娠初期の流産は胎児側の染色体異常が原因であることがほとんどです。
それでも、自分の行動を責めてしまうのが母性だと思います。
これって、ワクチンに関わらずある心理ですよね。
『忙しく働かなければ』『気づかずにお酒を飲んだから』『あの時の喫煙かも』『あの時の食事かも』
そうやって自分を責めてしまいそうな人は、よく自分と相談しながら接種を決めてくださいね。
もちろん、重症化リスクが高かったり、病院勤めなど感染リスクが高い生活を送る方は、この限りではありません。
それぞれの環境やメンタルを鑑みて、接種時期を決めていきたいですね。
妊娠中期はおすすめ時期の一つ
妊娠継続の可能性もかなり上がり、体調も安定し始める妊娠中期は、ワクチン接種におすすめの時期です。
とはいえ、副反応はあるのでスケジュールや体調と相談して決めていきましょう。
妊娠後期はおすすめだけど……体と相談して
妊娠後期も同じくおすすめなのですが、あまりに週数が進みすぎてしまうと、身体が重くなり副反応に耐えるのが辛くなってしまう可能性も。
後期の中でも早めの時期に接種することをおすすめします。
お腹の赤ちゃんのためにベストの接種時期は?
……という話を聞いたことはありませんか?
実はこれは本当です。そうなると、気になるのは……
その時に打ちたいなぁ……
赤ちゃんはワクチン打てないし!
今回はかいつまんでご説明するので参考にしてくださいね!
2022年3月26日現在では、これがワクチン接種時期の最適解になります。
まとめ
さて、今回の記事ではいくつかの研究結果をまとめて、以下のことを説明してきました。
・妊娠中にコロナに感染すると、早産や周産期死亡のリスクが高まる
・ワクチン接種により、コロナ感染による重症化・周産期死亡のリスクを抑えられる
・ワクチン接種による出産経過や赤ちゃんの元気さへの悪影響はない
・妊娠中いつでも接種できるけど、妊娠初期は自分のメンタルと相談して
・赤ちゃんにとってもメリットが大きいのは20週~32週での接種
以上、この記事が赤ちゃんの命も抱えて悩むプレママさんの助けになれていたら嬉しいです。
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