
早く国民全体に行き渡って、感染拡大が落ち着けばいいのだが……
なんか副作用?とか、テレビで言ってるじゃないですかぁ(泣)
コロナは確かに怖いけど、予防のために死にたくないよぉ~!
そう考える奴がいても咎められんが……
- コロナワクチンは安全なの?
- mRNAワクチンなんて聞いたことなくて不安
- 副反応とその防ぎ方が知りたい

医療施設での感染対策コンサルタントを6年間経験しました。
専門分野は「環境からの感染をいかに防止するか」で、医師~清掃員まで1000名超の指導経験があります。
日本の代表的な感染症学会『日本環境感染学会』で発表したことも。
正しい情報を求めるあなたの助けになれたら嬉しいです!
この教育研修の中には、ワクチンの啓蒙も含まれていました。
医師・看護師の皆さんは言わずとも接種を受けてくれるのですが、清掃スタッフあたりになってくると、一定の割合で「ワクチンが怖くて打てない」という方がいらっしゃったんですよね。
私は注射が怖い人間なので、気持ちはわかる一方で、感染対策上の効果はやはりてきめんなので、頑張って説得していました(笑)
結論
まず、ファイザー製のワクチンの効果は優秀です。(これはまた別記事でお伝えしますね)
そして安全性ですが、新型コロナウイルスのワクチンが、また、ファイザー製のワクチンが、特別危険なわけではありません。
他のワクチンと同程度のリスクがありますが、ほとんどの人には関係のないリスクです。
むしろ、他のワクチンと比較すると高リスクな人がかなり限定されているので、良心的なワクチンだなぁ、という印象です。
とはいえ、接種の強制は誰もしていないので、最終的にはメリット・デメリットを天秤にかけて判断してもらえればいいのかなーと思います。
そして、その判断の材料として、この記事が役立てたら嬉しいです♪
mRNAワクチンの仕組み
早速ワクチンの安全性についてお伝えしたいところですが……
まずはワクチンの仕組みを知っていただいた方が理解が深まるので、そこからお伝えしたいと思います。
私たちの体は日々、細菌やウイルスと戦っています。戦ってくれているのは、聞きなれた『免疫』です。
免疫には、以下の特徴があります。
- 目の前のものが攻撃対象かそうでないかを判別できる
- 一度戦った相手を覚えて、対策を練ることができる
- 再びそいつが侵入してきたときには、すぐに戦うことができる
ワクチンは、これらの免疫の性質をうまく利用したものになります。
- 細菌やウイルスそのものや、その一部、似たものなどを体内に注入する(ワクチン)。
- 免疫が、それを攻撃対象と捉え、攻撃する。
- やっつけた後、その細菌やウイルスの特徴を覚え、対策を練る。
- 再び細菌やウイルスが侵入してきたとき、3が活躍してすぐに戦う。
- 短時間で細菌やウイルスを排除することができる。
こんな感じですね。
で、今回のワクチンで一部争点となっているのが『mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンって安全なの?』というところ。
聞きなれないですよね。生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドは一般的ですが、mRNAとは何ぞや?と。
中には「その遺伝子情報が自分の体に組み込まれる……」なんて噂も出てきていて、怖いんですよね。
mRNAワクチンの安全性についての結論は『安心してください』になります。
このワクチンの作られ方から、効果を発揮するメカニズムまで、図にして説明していきます。
①mRNAは新型コロナウイルスの設計図をもとに人工的に作製
たまに勘違いされていることがあるのですが、ワクチンに使われているmRNAは、ウイルスから取り出したものではありません。
新型コロナウイルスから取り出した設計図(遺伝情報・RNA)を人間が解析し、その解析結果をもとに人工的に創り出したものです。
しかも、参考にしたのは設計図のほんの一部分。免疫がウイルスを見分けるのに使う『スパイクたんぱく質』という部品を作る設計図だけを使用します。
そのため、ワクチンを打ったからといって、体内でウイルスが作られることはありません。
生ワクチン・不活化ワクチンは弱まってはいるものの完全体に近いウイルスが体内に入ってきます。
それと比べたら、全然怖くない仕組みだなーと、個人的には思います。
その設計図から、これまた試験管内で、どんどんmRNAを作ります。
mRNAとは、設計図から抜き出した材料リストのようなものです。
不思議なことに、生体内では材料リストさえあれば、形は勝手にできるんです。面白いですよね。
②mRNAは分解されやすいので、脂質で包んで保護する
「mRNAは分解されやすいから、すぐに消える。だから安全なんだよ!」と聞いたことがあると思います。
これは真実です。mRNAがどうして分解されやすいかは④で説明します。
分解されやすいとどうなるかというと、効果を発揮する前になくなってしまう可能性があるということ!
これは大問題なので、それを解決するべく『脂質のカプセルで包んで保護をする』という対処法をとっています。
赤文字でも書いてありますが、この脂質カプセルが副反応を説明する際に重要になります。
覚えておいてくださいね!
このカプセル一つ一つが、ワクチンの有効成分です。
これを人になじみの良い液体(生理食塩水をイメージすると必要性がわかるかな、と思います)に入れたら、ワクチンの完成です!
③ワクチンを接種し、細胞に届くと、スパイクたんぱく質がつくられる
ワクチンが接種されると、mRNAは脂質のカプセルに守られながら、細胞内部にたどり着きます。
そこで登場するのが、mRNAという材料リストから、様々なものを作る大工さん(リボソーム)です。
作る専門なので、細胞内にある様々なmRNAを読み取って、どんどん色々なものを作っていきます。
これに紛れているのが、ワクチンに含まれていたmRNA。
mRNAは、人間のものもウイルスのものも見た目は変わらないので、疑うことなくリボソームは作成に取り掛かります。
そして細胞に生えちゃうのが……新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質なのです!
(この画像程、しっかりとは生えないと思いますけどね(笑))
日々、ウイルスの材料リストを使ってしまい、乗っ取られた細胞が出てきては、それを免疫がやっつけているんですよ。
すごいですよね、身体って。
④使われたmRNAは、どうなる?⇒分解される!
mRNAがどうして分解されやすいか……それは、mRNAが分解されずに残り続けると、リボソームが永遠にそれを作り続けてしまうからです。
画像にもありますが、放っておいたら細胞内は必要じゃないものでいっぱいになってしまいます。
だから、それをさっさと分解する能力が、細胞には備わっているんですね。
研究にmRNAを使う人間だったのですが『容器に素手を触れさせたらダメ』『唾なんてもちろんNG』『扱う時には氷の上で』『絶対に常温で放置しないで!』など、様々な制約がありました。
そして恐ろしいことに、一つでも、一瞬でもこの約束事を破ると、mRNAが跡形もなく分解されてしまうのです……すごいね、mRNA……(苦い思い出)
ファイザー製のワクチンではありませんが、同じように試験管で生成したmRNAをマウスに投与したときの、分解速度の研究結果を見つけることができました。(Karikó, K. et al.: Mol Ther 16(11): 1833, 2008より。)
この論文によると、ほとんどのmRNAがすぐに分解され、一番mRNAが行きついていた脾臓でも、24時間以内にほとんどが消失したということです。
分解されるのは間違いなさそうですね!
さて、噂には「その遺伝子情報が自分の体に組み込まれる……」とも聞きますが、これも否定できます。
これについては、最後の安全性についてのところでお伝えしますね。
⑤スパイクつき細胞は、免疫によって倒される
話は戻って。
ワクチンによってもたらされたmRNAにより、細胞に新型コロナウイルスと同じスパイクたんぱく質ができてしまった!というところから再スタートです。
そう、新型コロナウイルスと同じスパイクたんぱく質が発現してしまった細胞は、免疫により『敵(非自己)』と判断され、倒されてしまいます……
超かわいそうですよね(笑)
ワクチンからmRNAを受け取ってしまったばっかりに……
でも、この細胞の死を無駄にしないのが、免疫のすごいところです!
⑥免疫は、スパイクたんぱく質の形を覚えて対策を練る
免疫のすごいところは、一度戦った相手への対策を練ることができる点。
今回のmRNAの侵入も、ウイルスが直接侵入したわけではないけれども、戦いの末に対策を練ります。
新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質に特異的にくっつくカラーボール(抗体)を作り、敵味方の判別をせずとも、自動で銃武装した免疫がそいつをやっつけることができるようになるのです。
そして、そのカラーボールは量産体制にあります。
これでいつ新型コロナウイルスが侵入してきても、すぐに戦って倒すことができるようになりました!!
これが、mRNAワクチンの仕組みです。面白いですよね。
よく言われる「予防効果の持続期間は不明」って、どういうこと?
これ、不安材料の一つですよね。
とはいえ、もう3か月程度までは持続するとわかっています。その先どれだけ持つかがわかっていないだけです。なので、すぐに効果が切れてしまう心配はありません。
そもそも、どうして『持続期間』なる考え方があるかというと、一度戦いの準備はしたものの、しばらくその敵が入ってこないと、警戒を緩めてしまう場合があるからです。
はしかやおたふく風邪など「一回罹ったらもう罹らない」と言われている感染症があることは、多くの人が知っています。(厳密にはそうじゃない、とも言われていますけどね)
これは『終生免疫』と言って、上記画像のようなことが起こらない状態を指します。
反対に、インフルエンザワクチンは毎年打ち直していますが、その理由の一部は、上記画像のようなことが起こってしまうタイプの感染症だから、なんですね。
(他、インフルは変異が早いので、それに対応するワクチンを打たなきゃいけない、という理由もあります)
新型コロナウイルスのワクチンについては、まだ接種され始めたばかりなので、これがどれだけの期間なのかはまだはっきりしていません。
特に接種が進んでいるイスラエルで、これからどんどん結果が出てくると思います。
mRNAワクチンの安全性と、副反応を避けるために大事なこと
さあ、やっと安全性についての説明に入ります。
目次から飛んできた人は「ん?よくわからん」となった時には、ワクチンの仕組みに戻ってみてくださいね!
①軽微な副反応はなぜ起こる?
まず、軽微な副反応について、まとめます。
どうして副反応が起こるのか、については、大きく分けて下記2つの理由が挙げられます。
- 免疫系の働きによるもの
- ワクチン接種のストレスによるもの
報告があった軽微な(つまり放っておけばだいたい治る!)副反応について、確率別に書き連ねながら、原因を色分けしました。(どちらも可能性がある場合は、両方の色を使ってあります)
注意:原因の判別方法について
『免疫系の働きとしてあり得るもの』と、『交感神経・副交感神経の変調により発生しうるもの(=ストレス原因)』を考慮し、色分けしています。
あくまでも参考程度にご覧ください。
▼5%以上の人に発現した副反応
注射部位に表れた副反応……『疼痛』『腫脹』『発赤・紅斑』
その他……『頭痛』『筋肉痛』『関節痛』『疲労』『悪寒』『発熱』
※50%以上に発現した副反応にはマーカーを引いてあります
▼1%~5%未満の人に発現した副反応
その他……『嘔吐・悪心』『疼痛』
▼1%未満の人に発現した副反応
注射部位……『かゆみ』『熱感』『内出血』『浮腫』
その他……『めまい』『眠くなる』『不眠症』『顔面麻痺』
『食欲減退』『口腔咽頭痛』『鼻づまり』『四肢痛』『背部痛』
『多汗症』『発疹』『寝汗』『リンパ節症』『倦怠感』『無力症』『インフルエンザ様症状』
ちなみに、これらの副反応は、インフルエンザワクチン接種時の副反応と大きく違いはありません。
注射部位の腫れや痛みなんかは、インフルエンザのワクチンでもよく感じますよね。
インフルでは、その他の副反応は5%~10%程度なので、副反応の確率は同程度と言えるでしょう。
さて、この副反応が起こる理由とメカニズムについてお伝えしますね。
まず免疫系の働きによるものですが、体内で局所的かつ大々的な戦争が起こっているようなものなので、こうなるのも仕方ありません。
発熱も、ウイルスのせいだと思っている方も多いと思いますが、本来は免疫系の働きなんですよ。身体を熱くすることで、体内の様々な反応を早めようとしているんです。
そして、この戦いに体が集中すると、他に手が回らなくなるんです。(何かに集中すると他に手が回らなくなる例としては、生理痛やPMSなんかはいい例ですよね)
それで様々な副反応が出ます。
でも、それは戦いの間だけの一過性のものだから、数日~数週間のうちに落ち着いていくんですね。
ワクチン接種時のストレスによるものは、注射嫌いの私も実感したことがあります(笑)
ストレスで若干自律神経がやられるんでしょうね。極度の緊張・興奮状態から、接種を経て一気に解放されるので。
気持ち悪くなったり、食欲がなくなったり、経験ある方も多いのではないでしょうか?
軽微な副反応を避けるためには、どうすればいい?
正直なところ、注射を刺した部分の腫れや痛みは、避けようがないです。
それ以外については、万全な体調で接種に臨むことと、注射やワクチンを怖がり過ぎないことが重要になります。
私のように注射自体が怖い人は、もうこの副反応には慣れっこだと思います。
心配なのは「注射は怖くないけど、今回のワクチンが怖い」という人ですね。なるべくたくさん情報を集めて、リラックスして臨みましょう!
②重篤な副反応は、なぜ起こる?
これは、俗にいうアナフィラキシーショックや、そこまではいかないけれども全身にアレルギー反応が出てしまった、というものですね。
確率は、接種100万回に対し、5回です。20万分の1の確率ですね。
インフルエンザのワクチンでは、13万分の1なので、確率はコロナワクチンの方が若干低いです。
さて、ここでやっと出てくるのが、mRNAワクチンの仕組み②でお伝えした、mRNAを保護するための『脂質カプセル』です。
今回のワクチンによるアナフィラキシーショックやアレルギー反応は、この脂質カプセルに反応している人が圧倒的多数なのです。
そしてその多くが、その成分に対するアレルギーの既往歴がある人でした。
具体的な数字としては
- アナフィラキシーショック:81%の人に既往歴があった
- それ以外のアレルギー反応:67%の人に既往歴があった
となります。
ですので、アナフィラキシーのような重篤な副反応を起こす可能性のある人は、ほとんどが既往歴がある段階で接種対象から外されます。
もしもアレルギーが初めてで、アナフィラキシーショックを起こしてしまったら?
これも、今回の接種は慎重で、経過観察を必ず下記の時間だけ行うことになっています。
- 重いアレルギー反応を起こしたことがある人:30分
- それ以外の人:15分
ちなみに、接種~アナフィラキシーショックを起こすまでの時間の中央値は12,3分なので、この時間設定はまっとうなものだと思います。
そこでアナフィラキシーショックが起こってしまった場合には、エピネフリンの即時投与の他、抗ヒスタミン薬やステロイド剤の投与などによる処置が行われます。
これは、すぐに対応が可能なよう準備されているので、処置が間に合わなかったがために死亡してしまう、ということはほとんどなくなるでしょう。
おそらく、インフルエンザワクチンでの死亡割合とそう変わらなくなるのではないでしょうか。
接種可能なアレルギーと、接種不可能なアレルギー
▼接種可能
『卵アレルギー』『牛乳アレルギー』『乳製品アレルギー』『小麦アレルギー』……他、食物全般や花粉・ハウスダストなど、また『ラテックス』『ゼラチン』『チメロサール』に対する重篤なアレルギーの既往歴を持つ人
▼接種不可能
『ポリエチレングリコール』『ポリソルベート』に対する重篤なアレルギーの既往歴を持つ人
※この2種類が、mRNAを分解させないための主な材料です。
いずれも、アナフィラキシーを起こすほどの重篤なアレルギーの既往歴がある場合を示します。
接種不可能なアレルギーを持つ場合でも、~中等度のアレルギー反応であれば、30分間の経過観察付きで接種が可能になります。
③mRNAが自分の遺伝子情報に組み込まれる可能性はあるのか?
これはですね……現在解明されてる機構においては、あり得ません。
というか、おそらく今後もあり得ないと思います。これをやっていたら、今頃自分の数多ものmRNAや、侵入してきたウイルスたちのmRNAでDNAがめちゃくちゃに汚染されまくってるはずですからね。
このようなうわさが出るのは、おそらく『逆転写酵素』なるものが存在していて、それによってmRNAからcDNAがつくられるーという話によるものだと思います。
この仕組み自体はこの世に存在しています。この仕組みを持っているのは、人間ではなくレトロウイルスです。これを活用して様々な研究・実験がされています。
問題は、その逆転写酵素の仕組みが人体にもあったら、ヤバいよね、というところだと思います。
これについては朗報です。
人体内にある逆転写酵素は、これにあたりません!
唯一、テロメアを伸長させるためだけに存在している『TERT』と呼ばれる逆転写酵素があるだけです。これは、他のmRNAに対しては働きません。
ですので、そのような心配については杞憂に終わるでしょう!
参考文献(?)
副反応やその出現率については、ファイザー製のワクチンの適正使用ガイドを参考にしました。
もっと詳しく書いてあるので、見てみてくださいね!
後半には、ワクチンを打った人と、プラセボを打った人とでの副反応の発現確率の差が載っています。
特に、プラセボを打った人でも出る副反応で、注射部位以外のものについては、精神的ストレスによるものが大きそうですね。参考にしてみてください!
いかがでしたか?
本記事では、聞きなれない『mRNAワクチン』について、その仕組みと安全性について、生化学的な性質からお伝えしてきました。
あなたの疑問や不安感の解消のお役に立てたら嬉しいです♪