新型コロナ『新型インフル等』へ法改正の影響は?
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あっくん
みてみてールル部長!
Twitterでバズってたんですけど、新型コロナの分類が『指定感染症』から『新型インフルエンザ等感染症』に変わって、もう安心みたいですよ!

ルル部長
お、おう、そうな……のか……?
(よくわからん……)

みず
ちょっと待ってください!
これはちょっと語弊があるというか……
うーん、ややこしいので、説明させてください!

あっくん
え~!もしかして、安心じゃないの……?
2月に決まったことが今プチバズしているのが不思議ですが、感染症法について正しく知ると『政府が新型コロナウイルスをどう見ているのか』までよくわかるので、一緒に確認していきましょう!
この記事を書いた人
みず
医療施設での感染対策コンサルタントを6年間経験しました。
専門分野は「環境からの感染をいかに防止するか」で、医師~清掃員まで1000名超の指導経験があります。
日本の代表的な感染症学会『日本環境感染学会』で発表したことも。
正しい情報を求めるあなたの助けになれたら嬉しいです!
今回の記事は感染症法(別名:感染症予防法 正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)をもとに説明していきます。

上のリンクを開いていただければわかる通り、めちゃくちゃわかりにくいんですよ……かみ砕いて説明していきますね!

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結論

細かいことは抜きにして、まずは結論をお伝えします。

今回の法改正、結局、緩くなったの?厳しくなったの?

残念ですが、ほぼ変わりません。

 

今回の改正から見える、政府の意図は?

まず、悲報からお伝えすると『問題の長期化が見込まれている』ということです。

また、国が新型コロナウイルス感染症について問題視している部分も、かなり明確になった印象です。
それは下記の3点に集約されています。

  • 国民が新型コロナウイルスへの免疫を持っていないこと
  • そのせいで、急速に感染がまん延してしまうこと
  • その症状が、見過ごせない程度には重たいこと

最後に、朗報です。
『新型コロナの症状は、SARSやMERSといった2類感染症ほど、重篤なものとは判断されなかった』ということが、今回の改正から伺えます。

 

また『新型インフルエンザ等感染症』の分類は、前述の3点の問題点が解消した際に、分類から除外するのが容易な特徴も持っています。

そのため、
『状況が落ち着いたら厳しい措置をとらなくて済むようにしよう』という出口戦略の意図も、今回の改正から伺い知ることができます。

 

将来的には、新型コロナはどういう扱いになりそう?

それがどれだけ先になるかはわかりませんが、将来的には普通のインフルエンザと同じく『5類感染症』に分類されることになると思います。

そのための条件は、国や政府が問題視している3点『国民の免疫のなさ』『急速な感染拡大の恐れ』『一部患者の症状の重さ』の解消です。
それらは、ワクチンの普及によって解消されると期待されています。

……あくまで一個人の予想ですけどね!

 

さあ、それぞれ「どうして?」と思う方は、この先にお進みください!詳しくご説明します。

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そもそも、感染症の分類ってどんなもの?

各分類の定義

感染症法に記載されている感染症を見ていると、概ね下記のような定義で分類されているようです。

分類 定義 主な感染症
新型インフルエンザ等感染症 国民が免疫を持っていないために、急速な感染拡大の恐れがあり、症状も重めの感染症。 新型インフルエンザ、再興型インフルエンザ

※今回、新型コロナウイルスが追加

指定感染症 既知の病原体だが、1類~3類と同程度の対応が必要だと判断された感染症 これまでの新型コロナウイルスの分類。
1類 危険性が極めて高い感染症 ペスト、エボラ出血熱など
2類 危険性が高い感染症 SARS、MERS、結核など
3類 危険性はそこそこだけど、感染者の職業によっては集団感染を起こしかねない感染症。
(食中毒系)
コレラ、細菌性赤痢、O157など
4類 動物・飲食物・物を介して広がる感染症のうち、症状が重めの感染症。 マラリア、狂犬病、E型肝炎など
5類 感染拡大を防ぎたい程度には、症状が重めかつ、人から人への感染力が強めの感染症。 インフルエンザ、麻しん、梅毒など

各分類でできる措置

気になる「厳しくなったのか?緩くなったのか?」については、各分類の目的に応じた措置を見ていくと、わかりやすいです。

分類 濃厚接触者の外出自粛要請 無症状感染者への措置適用 交通制限 入院勧告・強制入院 就業制限 消毒 医師の届け出
新型インフルエンザ等感染症 直ちに
指定感染症 直ちに
1類 × 直ちに
2類 × × × 直ちに
3類 × × × × 直ちに
4類 × × × × × 直ちに
5類 × × × × × × 原則7日以内

この表を見てわかる通り『緩くも厳しくもなっていない』ということがわかります。

 

なぜ新型コロナは『指定感染症』から外れたのか

これには、大きく2つの理由があると考えられます。

『指定感染症』には期限があるから

これはあまり知られていない事実なのですが、指定感染症に分類できる期限が定められています。
『原則1年間』で、状況に応じて『もう1年延長可能』と、感染症法に定められています。

 

どうして期限が定められているのかというと、指定感染症がそもそも非常事態用に作られた分類だからです。

指定感染症には、下記の3つの条件を満たしている感染症が分類されます。

  • 既に知られている病原体だけど
  • 新型インフル・1類~3類と同程度の措置をとらないと
  • 国民への被害が広がり国がまずいことになる状況下にあるとき

感染症法上ノーマークに近いランクの感染症だったのに、厳しい措置をとらないとまずい状況……ということですから、暫定的な、急場しのぎの、でもかなり厳しい措置をとりたい時の分類だと言えます。

 

元々の構想では、この非常事態が長期に亘って続くことはあまり想定されていません。
なぜなら、その後の展開は、普通ならば下記の2種類に集約されるからです。

  • 1~3類ほどの脅威ではないけれど感染が爆発してしまった。短期決戦で抑え込めば勝利。
  • 1~3類ほどの脅威だったことが1年のうちにわかり、分類し直して対処できる。

そのため『指定感染症に分類する』という対処は、有効期限が1年、例外中の例外でも2年、という決まりなんですね。

 

では、今回の新型コロナウイルス感染症では、どうだったのでしょう?

実は『例外中の例外』が適用され、指定感染症への分類を1年延長することが決まっていました
2021/1/31には期限を迎えるところを、取り急ぎ、2022/1/31まで延長した形です。
が、2020/12/17の第50回厚生科学審議会 感染症部会資料によると、その先の再延長が不可能な点が問題視されています。
これには、異例の感染力を持つ新型コロナウイルスにおいて、短期決戦では勝つことができず、長期戦になることが既に見込まれており、そのためには分類を決める必要がある、という考えが表れています。

 

つまりは、2つ目の理由は……

『指定感染症』の期限を超えての、長期戦が見込まれるから

に、他なりません。

長期戦が見込まれているのに、わざわざ次の期限まで問題を先延ばしする必要はなく、さっさと決めて他のことにリソースを割こう、という考えなのではないかと思います。

1年後、感染の波が落ち着いて指定感染症を解除したけれど、すぐにまた流行の波が来てしまった……という未来も容易に想像できます。
「だったら今のうちに、ちゃんと法整備しようよ」というのは、至極まっとうな判断だと思います。

 

なぜ『新型インフルエンザ等感染症』に分類されたのか

他に適切な分類があるのか、考えてみましょう。

  • 1類:そこまで重篤な感染症ではない
  • 2類:そこまで重篤な感染症ではない
  • 3類:食中毒系ではない
  • 4類:コロナはヒトーヒト間感染のため、対象ではない。
  • 5類:まだここに分類するほど、感染の波が落ち着いていない。ここまで甘い措置にはできない。かつ、今後永遠に7日ごとにデータをとりつづける必要がある状況になるかどうかも不透明。

……と、合致するものがないことがわかるでしょうか?

 

反対に、新型インフルエンザ等感染症の枠組みならどうかというと

  • 国民が免疫を持たない:合致する
  • 急速な感染拡大の恐れ:合致する
  • 症状が重めの感染症:一部特性(年齢・既往歴)で合致する
  • とれる措置の厳しさ:指定感染症と遜色ないほど柔軟
  • 分類からの除外:比較的簡単にできる(「集団免疫獲得できたから、もう新型じゃないよー」と言える)

……と、かなり合致度が高いのです。
この分類になったのも、うなずけませんか?

 

特にポイントは、最後の『分類からの除外』の可能性が残されている点です。
永遠に今の厳しい措置を続けたいわけではなくて、急速な感染拡大という一番の課題が解消されたときには『新型インフルエンザ等感染症』の分類から外し、厳しい措置を撤廃する準備が、今回の法改正には含まれているとみて取れます。

そして、急速な感染拡大という課題を解消する重要なファクターが、目下は『ワクチンの普及』です。

なかなか明るい未来が見えてきますね。その日を楽しみにしましょう。

 

まとめ

結論は、冒頭に記載した通りで

  • 法改正で、措置は厳しくも緩くもなっていない
  • 国や政府は、新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になると捉えている
  • ただ、エボラやSARSのような重篤な感染症としては捉えられていない
  • 一番の問題は、感染拡大のスピードであり、この解消を目的とした分類となっている
  • ワクチンで感染拡大が抑えられれば、分類から除外される可能性が高い

この5点に集約されます。

 

かなり先を見通した法改正だったな、と個人的には評価しています。

(今の措置が厳しすぎる、という意見には賛成なんですけどね……後遺症の不透明性と、他国の高い致死率・他国からのインバウンド需要に依存せざるをえない日本という状況なので、厳しい方が国としては安心なのだろうと思います)

 

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そういえば、冒頭の「語弊」ってどこのこと?

冒頭の引用ツイートの記載の通り「皆が気にしないインフルエンザと同じ扱いになる」と読んだ場合は、インフルエンザの分類は5類なので、そもそもが誤情報になります。

が、この方が別のツイートで仰っているのは「皆が気にしない(新型)インフルエンザと同じ扱いになる」と言いたかったということなので、この点についての語弊について説明します。

 

これまでの新型インフルエンザと今回の新型コロナウイルスの違いは、感染拡大のスピードです。

 

これまでの新型インフルエンザは、さほど感染拡大を見せなかったんですよね。
そのため

  • 国民も特別不安がる様子もなく
  • 医療機関も多少の覚悟はすれど、実際はほとんど影響がなく
  • なので国も特別厳しい措置をとる必要がなかった

だからこそ「皆が気にしない」は、これまでの新型インフルエンザに限っては『正解』なのです。

 

一方で、爆発的な感染拡大を見せている新型コロナウイルスは、これらの状況を反転させます

  • 国民は不安がる
  • 医療機関は覚悟をする間もなく、大量の感染者を抱えることになる
  • だから国も特別厳しい措置をとってきたし、今後しばらくはその措置を継続する

もちろん、気にしなくて済むような状態になれば、厳しい措置をとる必要がなくなるのも、『新型インフルエンザ等感染症』の分類の柔軟なところなので、将来的にはそうなるかもしれません。

ただ、現段階で「安心して!」というのは、ちょっと違うよな……というのが筆者の考えです。
将来的には「皆が気にしない」感染症になる、という見通しに対しては、強く共感しています。

 

以上、現在の新型コロナウイルスを取り巻く法と政府の状況を理解する一助になれたら嬉しいです。
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